自分たちのアイデンティティーを信じられぬアトレティコ
コパ・デル・レイ準決勝ファーストレグ、アトレティコ・マドリー対バルセロナ(1-2)で起こったことを信じるためには、実際にその目で確認しなくてはならないだろう。アトレティコとバルセロナが、前半と後半でなぜここまで変貌できるのか、シンプルに説明することは困難である。
ライン間があそこまで間延びし、まとまりも、自信も、インテンシティーもなくプレッシングを仕掛けていたアトレティコが、後半になってバルサを自陣ペナルティーエリア内に押し込むようになり、勝利にすら限りなく近づいた。じつに信じ難いことだ。
一方のバルサは、前半にカウンター攻撃を中心としながら容易に試合をコントロールしたが、アトレティコが手に負えなくなって早く終了のホイッスルが吹かれることを望んだ。もっとも、こちらはセルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタが不在のため、ボールを保持できなかったことにその理由の一端を見つけることができるのだが。
今季のシメオネ率いるチームの熱量は、その守備の安定性で見て取れる。つまりはそこが悪質であり、失望を覚えさせている。この試合ならば、アスルグラナの先制点を導くゴディンのミスは理解できるものではない。その失点以降、彼らは均衡が取れなくなった。前線からプレッシングを仕掛けたいはずなのに、自分たちが実行していることに自信を持ち得なかったのだ。
アントワーヌ・グリーズマン、ヤニック・カラスコの2トップ、またボランチのコケも前線からバルサを圧迫しようとしたが、両サイドのフアンフラン・トーレス&サウール・ニゲスは中途半端な動きに終始……。そして何より、DF陣が相手選手の動きを潰そうとしなかった。
その結果、リオネル・メッシ&ルイス・スアレスはガビの背後を狙ったわけだが、そこにはカウンターを仕掛けるに十分なスペースが空いていた。アトレティコの狂ったプレッシングはチームを間延びさせ、ライン間にあってはならないスペースを生じさせていたのだった。