清武の能力は見込んだ通りだった
昨夏にハノーファーからセビージャに加わった清武弘嗣だが、スペインサッカーでの冒険は束の間のものとなった。セビージャはセレッソ大阪との交渉で合意に至り、彼を日本へと帰している。
清武をセビージャに誘ったのは、欧州、ひいては世界屈指のスポーツディレクターとして知られるモンチ氏だ。自慢のスカウトチームと自らの慧眼により、欧州でそこまで名を知られていない選手を獲得し、セビージャでブレイクさせてきたモンチ氏は、清武もそうなれる選手との確信を持ち、ハノーファーに移籍金650万ユーロを支払ってチームに引き入れた。
けれども、セビージャで日本代表MFを待ち受けていたのは、逆境の日々だった。
清武のセビージャ移籍が内定した直後、同選手の獲得を歓迎していたウナイ・エメリ監督が、パリ・サンジェルマンからのオファーを受け入れて退団した。モンチ氏は代わりにホルヘ・サンパオリ監督にチームを託すことを決断し、またマンチェスター・シティのサミル・ナスリを期限付きで獲得。サンパオリ監督はナスリ中心のチームを構築し、彼とポジションが重なる清武はベンチ、またはスタンドで試合を見続けることになった。
しかしながら、それでもモンチ氏にとって、清武の能力は見込んだ通りであったようだ。
「清武はセビージャで、私たちの手にしていた情報が正しかったことを証明していました。彼のプレーレベルは、このチームに所属する選手たちと同等と言えるものだったのです」
セビージャの名物SDは、先に別れを告げた清武についてそう語った。