年下のファンダイクを手本に。28歳で固めた決意
今後は守備面をさらに磨き、ビルドアップも含めて攻撃面でもチームに貢献したいと考え、さらなる成長を目指す。
「試合にコンスタントに出て、より自信を持ってプレーしていたら、攻撃面でも貢献できるかなと思う。でもまず一番は守備で安定したパフォーマンスをしたい」
そのためには、年下だがファンダイクは最高の見本になる。吉田自身もそれは理解しており、今季はことあるごとに比較対象としてこの頼れる同僚の名前を口にしている。
「フィルジル(・ファンダイク)は本当にビルドアップがうまい。練習もそうだが試合でも勉強になるし。少しでもいいところを盗んで吸収して、自分のものにしたいと考えている」(11月のアーセナル戦後)
「ああいうところのチャンスを掴み切るか否かがファンダイクとの差」(12月のヨーロッパリーグ、ハポエル・ベア=シェバ戦後)
万能型のCBであるオランダ代表は間合いの取り方が絶妙で、ボールを単純にクリアするときとキープするとき、簡単に捌くとき、ドリブルで上がるときなど、プレーの取捨選択に長けている。そういったプレー選択もまた、これまでの吉田に欠落してきた弱点の一つだった。しかしファンダイクを見習った吉田は、これまでよりも冷静なジャッジメントが可能になっている。
3年以上待ってようやく回ってきた千載一遇の機会である。簡単に手放すつもりはない。
「正直、このチャンスを長いこと待っていた。ここで掴み取りたいなと思うし、いつも言っているが、(移籍期間を挟む)半年ごとのテストだと思っているので。この半年、また一つ“勝負”になる。僕のサッカーキャリアを賭けた」
そう語った目には、ついに巡ってきた先発出場の機会を絶対に逃さないのだという強い気持ちが表れていた。果たして、今後6ヶ月間の“勝負”に勝つことはできるのか。
(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)
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