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吉田麻也、必然のレギュラー回帰で挑む「キャリアを賭けた勝負」。3年越しに掴んだ千載一遇の好機

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

カップ戦では5試合フル出場で無失点。決勝進出の立役者に

フォンテ
サウサンプトンの前主将ジョゼ・フォンテ。冬の移籍市場でウェストハムに移籍してもクラブは代役を獲得せず吉田を起用した【写真:Getty Images】

 リーグカップでリーグ屈指の攻撃陣を誇るリバプールをシャットアウトしたときも、CBのコンビを任された吉田と若いジャック・スティーブンスの2人の奮闘が目立った。彼らの活躍もあり、サウサンプトンは決勝進出を果たしている。

 クラブのレジェンドで元イングランド代表のマット・ルティシエも、新キャプテンのファンダイクを欠いたこの試合で最も眩い輝きを見せたCBの2人を手放しで褒めた。

「サウサンプトンは大会を通じて無失点。良いDFがいなければできないことだ。そして今晩は、今季のチームの最優秀選手ともいえるファンダイクなしでやってのけた。吉田とスティーブンスのコンビがファンタスティックな仕事をしたから、ファンダイクの存在について語られる必要もなかった」

 今季の吉田は、過去数シーズンと比べてプレーの成熟度が増している。これは本人も自覚していたことだが、吉田の最大のウィークポイントは一瞬の集中力の途切れだった。ディフェンダーとしては致命的な弱点である。そこから失点につながり、せっかく築き上げた信頼を失い、再び一からで直しになることが繰り返されてきた。2年目以降、常に3番手扱いされてきたのにはそういった背景があった。

 しかし研ぎ澄まされたプレーからは、軽率なプレーが確実に減った。これを意味してかは分からないが、直接対決後の岡崎は「今日は称賛されるべきだと思う。まあそれで調子に乗ってもあれだけど(笑)」と付け足している。

 プレミアにやってきて以来、吉田はいつも「先を見過ぎないで、1試合1試合」という言葉を口にしてきた。しかし28歳になった今季は、その言葉にこれまで以上の重みを感じる。ほぼ満点のパフォーマンスを見せたレスター戦後にも「1試合1試合、大事にこなしていかなくちゃいけないし、ミスを減らして、安定したパフォーマンスを出し続けていかなくてはいけない」と語っていた。

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