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吉田麻也、必然のレギュラー回帰で挑む「キャリアを賭けた勝負」。3年越しに掴んだ千載一遇の好機

日本代表の海外組で唯一CBとしてプレーするサウサンプトンの吉田麻也。オランダから移籍した加入初年度はレギュラーだったが、それ以降は控えの立場が続いていた。しかし、今冬にはチームのキャプテンでもあったポルトガル代表DFジョゼ・フォンテが移籍。クラブは後釜を獲得することなく、吉田に先発の座を託した。一見すると“棚ぼた”にも思えるが、決してレギュラー回帰は偶然ではない。吉田の成長には監督やクラブOBも高く評価しており、カップ戦ではキャプテンも務めた。吉田本人も、3年越しに掴んだレギュラーは「キャリアを賭けた勝負」になると強い思いを抱いている。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

吉田麻也、プレミア5年目で再びレギュラーに。監督も強い信頼感

吉田麻也
サウサンプトンに移籍して5年目となる日本代表DF吉田麻也【写真:Getty Images】

 プレミアリーグ5年目の今季、吉田麻也はサウサンプトン加入1年目の2012/13シーズン以来となるレギュラー復活を果たしている。

 フィルジル・ファンダイクとジョゼ・フォンテというリーグ屈指のCBパートナーの牙城を崩したわけではない。冬の市場に入ってキャプテンのフォンテが移籍した背景があり、棚ぼたでレギュラーの座が転がってきたという見方もできるかもしれない。

 しかしながら、今季はカップ戦を主戦場として定期的に起用され、限定的ながら吉田は与えられた機会で安定したパフォーマンスをし続けてきた。だからこそクロード・ピュエル監督はこの日本代表にレギュラーを託せると判断したのだろう。

 信頼度の高さは、今月18日のFAカップ、対ノリッジとの試合でキャプテンに指名されたことからも分かる。その理由について指揮官は次のように説明した。

「麻也はとても良いシーズンを送っている。(起用された際には)高い集中力でいいプレーをし、1対1の局面でも強さを見せて、充実している。開幕からここまで確実に成長している。それだけに、若い選手に囲まれたこの試合でキャプテンマークを彼に与えるのは大切だった。麻也は自信を養うことができたし、常にフォアザチームの精神を持つ彼は、それに値する」

 それ以前も、今季のリーグ戦でフォンテが出場しない際のローテーションで、吉田は代役を担ってきた。そしていざこのポルトガル代表DFがウェストハムに移籍した現在は、外部から補強するのではなく、先発の座に収まったのである。

 サウサンプトンは1月の市場で新CBを獲得しなかった。リバプールのママドゥ・サコやエバートンのフィル・ジャギエルカの名前がレギュラークラスの後釜候補に挙がったものの、最終的に指揮官は守備陣のテコ入れを図ることはなかったのだ。

 さらにいえば、22日のレスター戦でファンダイクが足首のケガをしていなければ、こういった噂さえもなかったかもしれない。それくらい今の吉田のパフォーマンスは充実しており、プレミアリーグの中堅クラブでレギュラーを張れる存在としてついに殻を突き破ったかにも映る。

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