リーダーシップを発揮する選手は不在。誰が声を大にするのか?
そしてドルトムントは[4-1-4-1]に布陣変更する。オーバメヤンが左サイドに入り、ワントップにはロイスだ。しかし、このマインツ戦におけるドルトムントのサッカーそれ自体に変化はなかった。83分、デンベレが戻ったが対応しきれず、エツナリに右サイドからクロスを入れられる。ファーでラッツァにヘディングで叩き込まれ、同点に追いつかれてしまう。
1-1のドローで試合を終えて、ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は「我々のアイデンティティを失ったこと」を悩ましい点として挙げた。
マインツ戦に限ったことではないが、やはり今季のドルトムントにはリーダーが不在だ。ゲームキャプテンはシュメルツァーが務めているが、腕章を巻く主将以外に、ゲームの最中に流れを読み、キャプテンシーを発揮し、アイデンティティを再確認することのできる選手が欠けている。
後半も半分を過ぎようとする頃に、1点のリードで布陣変更をした場合、逃げ切るのか、追加点を奪いに行くのか。監督の指示に従うだけでなく、ピッチ上でリーダーシップを発揮できる選手も必要なのではないだろうか。
シュメルツァーだけでなく、バイデンフェラー、ピシュチェク、香川真司、ロイスなど、クロップ政権時から在籍する“古参”は何人かいる。
誰が声を大にするのか。これもまたドルトムントの課題の1つである。
(取材・文:本田千尋【マインツ】)
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