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“英国的スピリット”が失われたプレミア。付け焼刃の「ホームグロウン制度」が招く悪循環【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

ホームグロウン制度の解決策は?

チェルシー
現在のプレミアリーグで首位に立つチェルシーの主力にイングランド人選手は数少ない【写真:Getty Images】

 もし本気で取り組むとしたら、多分方法は一つしかない。過去現在、イタリアやスペインなどで導入されてきた「外国人ナンバーキャップ制」、すなわち、1チーム辺りの外国人出場枠を劇的に限定(3~5名)するショック療法…。ただし、クラブ側の事情を考え合わせると、数年間の期間限定オプション付きが精一杯といったところだろうか。

 無論、これによってプレミアの総体的実力低下が避けられない可能性も相当に高く、各方面からの強い反対論が予想され、手を出しにくいのが何とももどかしいジレンマではあろう。

 かといって、もはや突発的に出現する「何十年にひとりの天才、逸材」に希望をつなぐしかないのでは、ホームグロウン制はさらに形骸化し、ねじれた悪循環の象徴でしかなくなってしまいそうだ。

 そのうえで“救い”を求める策があるとすれば――現実的な無理は承知で、監督の任期に特例的縛りを設ける方法はどうだろうか。例えば、昨今話題の某大国の大統領制にヒントを得て(?)「最短4年間は何があろうと(一つのクラブの監督職を)勤め上げねばならない」とする、あえて名付ければ「時限非常法」。

 それで何が変わり、何が良くなり、あるいは何が悪くなるかは、神のみぞ知る…もとい、建設的な観点から“目をつぶる”のだ。そのココロはあえて説明しなくてもおわかりだと思う。それにふさわしい指導者が果たして足りるのか、国籍を問わなくてもいいのかなど、問題はいくつもあるにせよ、試してみる価値はないだろうか。

 多分、苦笑の一つで片づけられるのが関の山の、絵に描いた餅かもしれない。しかし、そこにはもう一つ、健全で地に足の着いたクラブ運営、という余禄も必ずやついてくるはずだとすれば、一考“以上”の余地はありとも考えてしまうのだが…。

(文:東本貢司)

【了】

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