マンジュキッチがミランに与えた致命傷
守備時には全体が4-4-1-1の並びに収縮し、コンパクトな守備ブロックを築く。そしてそれぞれの選手が互いのサポートへ走り、相手のボールホルダーを複数で囲む。前線のイグアインやディバラも、ミランのセンターバック2人とアンカーのマヌエル・ロカテッリに厳しくプレスを掛けて、後方からのビルドアップを阻害。パスコースを限定させ、中盤にボールを拾わせていた。
とりわけ守備面、戦術面での貢献が一番分かりやすい形で見えていたのはマンジュキッチだ。本来センターフォワードの彼は、左サイドハーフとして使われる。求められているのはウイングとしての突破力ではなく、攻守両面での奔走である。ちょうど、昨季のミランでシニシャ・ミハイロビッチ監督(現トリノ)が本田圭佑に課していたような役割だ。
そして彼の存在は、特にこの日のミラン相手に効いた。守備ではまず対面のイニャツィオ・アバーテにプレッシャーを掛け、スソやユライ・クツカへのパスを断つ。スソがボールを持てばアサモアのヘルプに走り、2人で囲んでボールを奪う。アサモアがサイドに釣り出されたら中へスライドし、時には後ろまで回ってサイドのスペースを埋めた。こうして、目下ミランの攻撃の最大のキーマンであるスソの動きは封じられた。
さらに攻撃では、外から中へと絞る。これによりアバーテが釣られ、サイドのスペースが空き、ここにアサモアが突っ込んできた。これはミランにとって文字通りの致命傷となった。先制ゴールとなった前半10分のディバラのダイレクトボレーは、アサモアの左クロスが呼び水となったもの。21分にはピャニッチが直接FKを決めたが、これもアサモアの強烈なカットインからファウルを誘って得たチャンスだった。