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岡崎慎司、トップ下起用で巡らす葛藤。ストライカーの矜持と結果への焦り【現地レポート】

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

システム変更、最大の理由

ラニエリ
レスターのクラウディオ・ラニエリ監督【写真:Getty Images】

 これら2つだけがその理由であれば、残った選手で普段どおりの4-4-2あるいは4-5-1のシステムの採用は可能だった。しかし3つ目であり、最大の理由があった。守備の改善である。

 20節のミドルズブラ戦を0-0で終え、ラニエリ監督は2戦連続のクリーンシートを大いに喜び、「いいパフォーマンスだった」と繰り返した。(19節のウェストハム戦は1-0で勝利)

 岡崎についても「シンジは敵のMFを押さえる守備のできる選手。戦術的な見地からは素晴らしい仕事をしたし、嬉しく思っている。彼ならこのプレーができると確信していた。100%貢献した」と守備のパフォーマンスを褒めていた。

 昨季後半戦のような堅守速攻を狙い、原点回帰を目指したのはあるのだろう。「とてもソリッドで、嬉しく思う。ゴールを取りたいのはもちろんだが、今季は失点を与えすぎてしまっていて、守備を改善する必要があった。ソリッドでストロングなチームに戻れて嬉しい」と、指揮官は続けている。

 同試合後、岡崎も新たなシステムについて、「やりがいはあるし、役割がはっきりしている。駒のひとりとして扱ってもらったほうがはっきり自分もプレーができる。割り切って守備も頑張って、攻撃も何回かパスを出したり、シュートチャンスもあった」と好意的に捉えていた。

 だが見ている者としては退屈で仕方がなく、可能性をまるで感じないフットボール以外の何物でもなかった。あのミドルズブラ戦のように、目的である守備面がソリッドになり敵を零封できればまだいい。

 だが実際はサイドへの対応が甘くなり、岡崎と中盤の3人の間のスペースが広くなってしまうため、ショートカウンターの餌食になりやすい。これはミドルズブラ戦でピンチに陥った際や14日のチェルシー戦でシステム変更をした後にも見られ、直近のサウサンプトン戦でもさらに顕著だった。

 この試合では、右にドリンクウォーターと左にメンディが配されたが、この2選手はあくまで中盤センタータイプだ。どちらも中央に絞りがちで、ワイドエリアをまるでカバーしない。ドリンクウォーターの場合は、元々前線へのミドル・ロングレンジのパスを好み、以前から岡崎へパスする回数が極端に少なかった。このシステムではさらにその傾向が見られ、すべてのパスが岡崎を迂回してしまい、まるでトップ下を置く意味をなさなかった。

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