欧州5大リーグトップの得点数
就任初年度は、若手の新入りメンバーが多かったこともあり、彼らに自信を植え付けるためにも、監督は「負けない戦法」をとった。1-0、1-1、0-0、といった試合結果が続くと「つまらない」という批判も浴びたが、我道を貫きPSG、リヨンに次ぐ3位に食い込んだ。
就任2年目の昨季は、初年度に築いたベースを定着させる年として、「安定した成績を出すこと」を目標に掲げてそれを達成、またもPSG、リヨンに次いで3位で終えた。
そして今季は、ファルカオが復帰、昨季ニースで活躍したFWジェルマンもレンタルから戻って攻撃陣が充実したこともあり、この2人を2トップに据えた布陣で攻撃的なサッカーを展開。6点、7点といったハイスコアゲームを連発し、現時点で64得点と、欧州5大リーグでトップの得点数を誇る。
前述のシディベやルマール、昨季デビューしたばかりの18歳の生え抜きムバッペ、昨季はリエージュでプレーしたブラジルU-20代表のMFボシリアら、勢いのある若手を積極的に起用し、GKスバシッチやDFグリクらベテランが要所を支えて、グループとしてのバランスも良い。
ちなみにリーグカップ戦の対レンヌ戦でハットトリックを決めたFWムバッペはビッグクラブに引き抜かれるのは時間の問題と言われる現在欧州で注目されている若手ストライカーの一人だ。
現在12得点と、世界トップクラスのストライカーと呼ばれていた頃のゴール勘を取り戻したファルカオの活躍もチームの上昇気流を煽っている。
前半の王者ニースが粘るか、やっぱり蓋を開けたらPSGだった、ということになっているのか。この後続くPSG対モナコ戦、そしてモナコ対ニース戦と、今季のタイトルの行方に影響する2大マッチに注目だ。
(取材・文:小川由紀子)
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