ファルカオ、ハメスら大型補強敢行も、その後に方針変更
リーグ2でも上昇の兆しは見られず、このままいくと3部降格もありうるのでは?という危機感さえ漂ったが、そこに救世主が現れた。現オーナーであるロシアの実業家ドミトリ・リボロフレフ氏だ。
新オーナーを迎えた新生モナコは、まずは昨季プレミアリーグでレスターを優勝に導いた名将クラウディオ・ラニエリを指揮官に迎えると、順当に翌12-13シーズン、リーグ2優勝を果たしてトップリーグに復帰。
その夏のメルカートでは、ファンの期待通り巨額の資金を投じて大型補強を敢行した。ラダメル・ファルカオ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウチーニョらPSGにも匹敵するトッププレーヤーを集め、昇格初年度にして序盤からトップ3に食い込むと、最後までディフェンディングチャンピオンのPSGに追いすがって13-14シーズンを準優勝で終えた。
PSGの独走をはばむ対抗馬の出現だった。
ところが。
モナコはここで運営方針を変更。PSGと同じ路線を継続して彼らに張り合うことを止め、スパっと若手中心路線にシフトしたのだ。
13年夏の支出で指摘されたファイナンシャル・フェアプレー問題を回避することや、カタールの資金力には到底かなわないのだから同じ土俵で戦うのは得策ではないと悟ったことも理由だとは思うが、長期的に上位に君臨できるチームを作るには人材育成が肝心であるという地道な方向を、彼らは選択したのだった。
すでに世界的に有名なビッグネームをリクルートすることはせず、自前のアカデミーで育成、あるいは他クラブから集めた未発掘の逸材を中心にチームを形成。そうして活躍する機会を得た若手のMFコンドグビア、DFクルザワ、FWマルシャルらはそれぞれインテル、PSGマンチェスター・ユナイテッドへと巣立ってさらなる成長を続けている。
そして今季はサイドバックのシディベや攻撃的MFルマールら、新たにフランス代表入りを果たした成長株が主力として活躍中だ。