モンテッラ監督「チームを強豪に育てるには時間が掛かる」
ジャコモ・ボナベントゥーラ【写真:Getty Images】
このような堅い守備の前に、ミランは攻め手をかなり封じられていた。外を広く使い、サイドチェンジを織り交ぜて揺さぶりをかけても、中のスペースはガッチリと閉じられシュートまで活かせてもらえない。ジャコモ・ボナベントゥーラも時々左サイドから切り込んだが、持ち味とするカットインからのシュートやクロスは執拗に警戒されていた。
華麗な攻撃サッカーを展開するナポリだが、組織守備はやはりイタリアのチームらしく緻密に機能する。この両立がナポリの強さである。「我々は苦しみ方を知っている。この意味でささやかながら質を上げたと思う」とマウリツィオ・サッリ監督は胸を張った。
一方のミランは、中盤のパザリッチとユライ・クツカがパワーで対抗してボールを奪取し流れを取り戻したが、彼らの運動量が落ちてきたところでそれ以上の反撃はできなくなった。ジャンルイジ・ドンナルンマの再三の好セーブに助けられなければ、点差はもっと広がっていたかもしれない。
「相手のクオリティは認めなければいけない。だが先行されても頭を真っ白にすることなく、ナポリ相手に勇敢に戦えたことに満足を覚える」とポジティブに語ったヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は、「チームを強豪に育てていくには時間が掛かる」と冷静に分析していた。
チャンピオンズリーグの出場権を争う相手からは直接対決で水をあけられてしまったわけだが、ここからミランはどう成熟していくのだろうか。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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