レアル・マドリー移籍にまつわる古傷
「因果応報」であるとか、「詩的な正義」であるとか、様々な形で表現された。先日のセビージャ対レアル・マドリー戦において、オウンゴールで試合を振り出しに戻す選手が他ならぬセルヒオ・ラモスになろうとは、いかに大胆な戦前予想にも想定されていなかったことだ。だがサッカー界の脚本家にはこれがお気に召したようで、わずか4日のうちに行われた2試合(コパ・デル・レイとリーガ)であらゆることが起こった。
セビージャは特別な町であり、この地の愛郷心や誇りについては理解できず知りもしない者が多い。応援するチームはセビージャあるいはベティスであり、決してバルセロナやレアル・マドリーではない。これは他の土地とは異なる部分だ。
セルヒオ・ラモスはそれを知っており、一人のセビジスタとして、自分の家のように考えている観客席の挑戦的態度に心を痛めることになった。だが、一旦作られてしまえばそう簡単には癒えない古傷というものがある。
彼がまだ19歳だった時にレアル・マドリー移籍を選んだ決断を赦していないセビジスタたちは多い。強烈なパーソナリティーと明確な考えを持った彼はそこに成長の好機があると考えたが、当時のデル・ニド会長は移籍取引の事実を覆い隠し、ラモスがセビージャ退団を訴えかけてきていると漏らして彼を落胆させた。その一方で移籍交渉を進め、3600万ユーロで取引を成立させることになった。