28歳迎える香川。今こそ“ベテランの風格”を
そこで主力の座を確保するために重要になるのは、経験を積んだ選手ならではの洞察力、ということになるのではないだろうか。
パーダーボルン戦では、香川は少し下がった位置でゲームを組み立てた。チーム全体として若い選手の多いドルトムントにあっては、やはり経験を積んだ選手としてのゲームの流れを読む力、全体のバランスを取る力を、誰が取るのかが重要になる。
アウクスブルク戦の後でもチーム全体の守備の改善を唱えていた香川だが、パーダーボルン戦のスタメンを振り返っても、前に向かう姿勢の強い選手が多い中、そうした戦術眼は貴重で、重要なものになるだろう。
クロップ政権時から在籍し、マンチェスター・ユナイテッドというビッグクラブも経験した香川。経歴を振り返れば、本人はまだまだ否定しても、ベテランと呼ぶに相応しくなってきた。3月には28歳になる。ドルトムントという名門にあっても、なおのことだ。
これまで欧州で培った洞察力をどのようにゲームの中で発揮していくのか。それはどのようにゴールの前に入っていき、どのようにゴールを決めるのかのタイミングを見極めるのにも役立つだろう。
“ベテランとしての風格”を漂わせていくことが、ドルトムントの、何より香川の巻き返しに繋がっていくはずだ。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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