中国からの高額オファーを断った選手は英国内で高評価?
彼らの感覚では、過去10年間でサッカー界の優良発展途上国との印象が定着した感のあるアメリカのMLSでさえ、斜陽期のベテランや経験を積みたい若手の移籍先としては悪くないという程度の評価。中国のスーパーリーグは、そのMLSよりも数ランクはレベルが落ちると認識されている。
メディアで紹介される情報も、欧州で「弱小国」の1つに数えられるフェロー諸島より1つ上でしかない82位のFIFAランキングや、タイのユースチーム相手の大敗といった中国代表の冴えない成績が目立つ。
年始のウェストハム対マンチェスター・ユナイテッドでのハーフタイム中、前半に誤審と思しきレッドカードを提示した主審の判定を隣席の記者たちと話していた際、国内高級紙でペンをとる英国人は、冗談とはいえ「中国で試合を裁かせた方がいいな」と言っていた。
それだけに、逆に中国からの高額オファーを蹴った選手は見直されもする。マンチェスター・シティでの処遇に不満を唱えた過去を持ち、メディアで強欲な大物スターの代表例のように扱われたこともあるヤヤ・トゥーレでさえ評判を上げた。今冬のコスタを上回る待遇で誘われた昨夏、移籍を拒んだシティのベテランMFは、年俸レベルではなく競争レベルの高い環境を残り少ない現役生活で優先したという理解だ。
Y・トゥーレの判断を「賢明」と歓迎したサッカー発祥の地の国民には、純粋に選手の移籍後を憂う部分があるのかもしれない。中国への移籍は、リーグのレベルのみならず、金銭面を除けばサッカー選手には全く好ましくない環境だとする見方は強い。
昨年、ウェイン・ルーニーがスーパーリーグ勢の獲得ターゲットとなると、マンU主将お抱えのアドバイザー陣が中国視察を行っているが、ピッチのコンディションから審判のレベル、アウェイゲームでの移動距離の長さからスタジアムの埋まり具合まで、報告内容にはマイナス要素が溢れていたとされる。