ドイツ代表で栄光のキャリアを歩んだルーカス・ポドルスキ【写真:Getty Images】
現地時間の16日にドイツから放たれた一報に極東の日本が沸いた。元ドイツ代表でワールドカップ優勝経験も持つFWルーカス・ポドルスキがJ1リーグのヴィッセル神戸加入が近いと報じられたのだ。
ポドルスキの神戸加入が実現すれば、Jリーグにとってはディエゴ・フォルラン以来となるビッグネームの参戦となる。“黒船”DAZNによる放映権収入の増大で特需が見込まれているJリーグにとって明るいニュースとなるだろう。
一方で、ポドルスキという選手は実は特徴的な“二面性”を持つ選手として知られている。ドイツ代表での栄光と、クラブサッカーシーンでの苦心だ。
ポドルスキは2004年6月6日の国際親善試合ハンガリー戦でドイツ代表デビューを果たして以来、実に10年以上もドイツ代表の貴重な戦力であり続けた。その間にドイツ代表は2014年にワールドカップを優勝。昨年8月にドイツ代表引退を表明した同選手だが、引退時点で同チームの歴代3位となる129試合に出場し、歴代4位となる48ゴールを記録した。バスティアン・シュバインシュタイガーやフィリップ・ラームと並び、ユルゲン・クリンスマン監督とヨアヒム・レーヴ監督という2人の指揮官が築き上げた一時代の象徴の一人だ。
しかしながら、ポドルスキはクラブサッカーシーンでは代表での栄光に比べ苦戦し続けたキャリアとなっている。2003/2004シーズンにケルンにて衝撃的なデビューを収めると、翌年2004/2005シーズンは2.ブンデスリーガ(ドイツ2部リーグ)で24得点をあげて得点王となり、チームを1部昇格へと導いた。
しかし、その後2006年に満を持してバイエルン・ミュンヘンに移籍するも、思うようにゴールを重ねられず3シーズンでブンデスリーガ15ゴールに終わる。2009年には再びケルンに出戻りの形で放出され、2011/2012シーズンにリーグ戦18ゴールと復活をみせた。
2012年にはアーセナルに移籍し、初年度は33試合に出場し11ゴールとまずまずの成績を収めるも、そこから徐々に出場機会とゴールが減少。2015年冬には戦力外のような形でインテルに移籍した。しかし、ここでも半年間でわずか1ゴールと不発に終わり、2015年にトルコのガラタサライに移籍している。結局クラブシーンではドイツ2部時代と2010年から2012年までのケルン時代がキャリアのハイライトとなっている。
ドイツ代表ではコンスタントに活躍を続け、偉大な記録を打ち立てたポドルスキだが、クラブシーンでは全体を通して苦戦を強いられ続けている。代表での活躍が大きいがゆえに、クラブシーンでは肥大した期待に応えきれなかった印象だ。
今季2016/2017シーズンはガラタサライで10試合出場3ゴール2アシストという状況のポドルスキ。果たして、同選手はJリーグでクラブキャリアに新たなハイライトを加えることができるのだろうか。
(文:Keiske Horie)
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