“余白”利用したミラン。5分間で同点に
しかしそういった力関係も、ピッチの戦術的なバランスが狂うと一気に崩れてしまうのがサッカーの不思議でもあり深遠なところである。前方から積極的にプレスを掛け、最終ラインも大胆に押し上げていたトリノは、リャイッチのPK失敗のあたりからプレーがルーズになる。守備が下がり、全体が少しずつ間延びするようになると、中盤でボールをつないで攻めるために必要な“余白”が敵陣にできるようになった。
あとはそこを利用し、ミランの選手たちが攻めた。彼らにはコッパ・イタリアの対戦よりも、中盤の選手がボールをつないで前線へ飛び出すという意識を強めていた彼らは、徐々にペースを掴み取っていた。特にアンドレア・ベルトラッチは守備から前線に飛び出すというプレーを積極的に作り出しており、追い上げの口火となったゴールも彼が決めた。
「修正しなければならないところがあるのは事実。ただ難しい条件から追いついたわけだから、やはりチームの力は上がっている」とモンテッラ監督は涼しげに語っていた。
(取材・文:神尾光臣【トリノ】)
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