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アジア 8年前

中国サッカーの“爆買い”バブルは崩壊するのか?「マネーゲーム」で腐敗の道を辿る人口13億人の大国

text by 鄭仲嵐 photo by Getty Images

お金で環境は解決できるのか?

ヘイミル・ハルグリムソン
アイスランド代表のヘイミル・ハルグリムソン監督【写真:Getty Images】

 今回のアイスランド戦は、ともすれば中国にとって教訓になるのかもしれない。人口わずか32万人のアイスランドは、現在のFIFAランキングで21位。北欧の小さな島国はEUROで旋風を巻き起こし、強豪国の仲間入りを果たそうとしている

 一方の中国は世界最大となる13億人の人口を抱えながら、FIFAランキングでは81位と決して強豪とは言えない。人口とサッカーの強さは決して比例するものではないが、アイスランドは良い手本を示したのだ。今回のチャイナカップに参加した選手のうちEUROに出場したのはたった7人ではあったが、今の中国代表を相手にするには十分すぎたということだ。

 試合前の記者会見で、アイスランドのヘイミル・ハルグリムソン監督は中国サッカーへの印象を聞かれて「経済の力は素晴らしく、羨ましい限りだ」と発言したが、中国のネットユーザーからは、「アイスランドは国民平均GDP5万ドルだろう? 羨ましいと言われることは逆に恥ずかしいことだ」というコメントが残されていた。

 アイスランドの強さには、経済力でも生活でも、そしてサッカーに対する態度やGDPの豊かさでもサッカーチームを作る基盤だと教えられ、今回のチャイナカップも「マネーゲーム」を演じる中国代表にとって良い経験となったはずだ。

 元中国サッカー協会会長のニアン・ウェイジ氏も、今日の中国サッカーの状況を強く批判する人物のひとりだ。

「お金だけを重視しているようだが、結局のところトレーニングや技術はかなり不足している。選手たちはただ自己満足しているだけで、これで中国サッカーは本当にいいのだろうか? 他の国と比べ、中国のマネーゲームはサッカーの環境を腐敗させることになる」

 冬の移籍市場も幕を開け、中国サッカーの「爆買い」はまたしても世界に驚かせている。また、チャイナカップの開幕戦は逆に中国に厳しいレッスンを与えることとなった。中国サッカーバブルは、いつ崩壊を迎えるのか。その答えは、きっと時間が教えてくれることだろう。

(取材・文:鄭仲嵐【台北】)

【了】

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