爆買いが止まらない中国
近年の移籍マーケットでも、中国の「爆買い」が止む気配はない。チェルシーからは上海上港に移籍したブラジル代表のオスカル、ボカ・ジュニオルスからは上海申花に移籍したアルゼンチン代表のカルロス・テベスが極東へと旅立った。
他にもベルギー代表のヴィツェル、元チェルシーのラミレス、コロンビア代表のマルティネス、かつてJリーグでもプレーしたフッキ…。天文学的な移籍金と給与で、次々とスター選手を呼び寄せた。バイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長までもがこの状況を危惧し、「中国サッカーはもう救えない状態」と苦言を呈す始末だ。
中国国内でもこの異常事態は不安視されている。中国スポーツサイト『捜狐体育』は、「単にお金だけで中国サッカーの実力を上げたいのか? それはサッカー発展におけるルール違反ではないのか? 外国人選手たちは、みな中国の実力を認めているわけではなく、ただお金を認めているにすぎない」とのコラムを掲載した。
実は、中国首脳陣でもこの「爆買い」の危険性に気付き始めている。中国国家体育総局と中国サッカー協会は、将来的に移籍金や給与の上限を設定したいと明言した。『人民日報』にれば、体育総局の広報は「しっかりとクラブの財政を管理し、選手たちの給与なども理性的にコントロールしたい。お金はもっと自らのクラブの若い選手やユース、そして育成環境に投資してほしい」と、資金の使い道について提案している。
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