“自由”からの“勝ち疲れ”。モチベーションの喚起が困難に
絶対王者をマンネリズムが襲う。戦術上の決まり事でがんじがらめだったペップ時代と打って変わって、アンチェロッティはまず“自由”を重んじる。その恩恵を真っ先に受けたのはリベリーだ。
[4-3-3]の布陣で基本ポジションは左ウイングだが、攻撃時にはトップ下まで動くなど、大幅なポジション・チェンジを許された。6-0と快勝したブレーメンとの開幕戦では1ゴール1アシストの活躍。プレシーズンの米国遠征中にはペップを批判するなど、リベリーは新監督がもたらした“自由”を称賛した。
しかし、次第にチームは緩み始める。“自由”がもたらすネガティブな恩恵。戦術的な約束事が軽減したことで、インテンシティの維持が難しくなる。そもそも“勝ち疲れ”なのだ。
バイエルンは昨季ブンデスリーガ史上初の4連覇を成し遂げたが、前人未到の偉業を成し得た後で、新たなモチベーションの喚起は難しい。10月にはケルン戦、フランクフルト戦と2戦連続のドロー。その後は持ち直したかに見えたが、11月に入ってホッフェンハイムとドローを演じ、続くドルトムント戦では今季初黒星。中途半端な[4-3-3]を披露する。さらにチャンピオンズリーグ(CL)では、アウェイで伏兵ロストフに2-3で敗戦。グループDを2位で通過することになった。
12月に入り、マインツ戦から[4-2-3-1]をリーグ戦で採用すると、CLアトレティコ戦も含めて5連勝した。布陣変更によるマンネリの打破。前半戦最後の決戦となったRBライプツィヒとの首位攻防戦では、絶対王者の貫禄を見せつけ、挑戦者を寄せ付けなかった。
首位でウインターブレイクに突入する。しかし、その前節は最下位ダルムシュタットに辛うじて1-0で勝利するなど、不安は拭えていない。