サンチェスが序盤を支えるも…前半戦は5位に後退
シーズン序盤の好スタートを支えたのはストライカーとして覚醒したアレクシス・サンチェスの活躍だった。EURO決勝を戦ったオリビエ・ジルーの合流が遅れたことで1トップに入ったチリ人アタッカーは驚異的なペースでゴールを量産。10月の終わりから12月初めまでの5試合ではハットトリックを含む7得点と大爆発した。
現在は19試合を終えて13ゴールと少し落ち着きつつあるが、それでもこれまでのサンチェスとは明らかに違うパフォーマンスでアーセナルの攻撃をけん引している。得点力が向上した右サイドのテオ・ウォルコットや独特のリズムを刻むドリブルで定位置を掴みつつある左サイドのアレックス・イウォビらとともに構成するオフェンスの破壊力は抜群だ。
長年泣きどころだったセンターバックにムスタフィを補強した守備陣の奮闘も見逃せない。ペトル・チェフはさすがの安定感でゴールマウスに鍵をかけ、頼れる相棒を手にいれたロラン・コシエルニーもキャリア最高とも言える出来で評価を高めている。
とりわけ中央の守りは強固で、ペア・メルテザッカーにないスピードを備えたムスタフィの登場が安定感をもたらしている。瞬く間にプレミアに馴染んだドイツ代表DFとコシエルニーは、ともにヘディングの強さや機動力を備えており、互いがパートナーを生かしながらプレーできる強みを持っている。
一方で、新たな司令塔として期待されたジャカの順応がなかなか進んでいない。プレッシャーがないところでは左足から恐ろしいほど質の高い中・長距離パスを通すが、厳しいプレスに遭うとそれを避けてプレー精度が落ち、前向きの意識が低くなってしまう。
L・ペレスはプレー機会自体がほとんどなく、出場しても周囲との呼吸が合わない場面が散見され本領発揮に至っていない。期待された新戦力をどこまでフィットさせられるかが後半戦に向けて解決すべき課題の一つになる。
12月初めまではリバプールとの開幕戦に敗れたのみで、一時は2位につけていたものの、その後の2連敗で失速し、年が明けた現在は5位まで後退している。例年以上に上位争いは拮抗しており、アーセナルがリーグ制覇を成し遂げるにはこれ以上の足踏みは許されないだろう。