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Jリーグ 8年前

Jリーグ参入を目指す“アンダーカテゴリー”の物語。奈良クラブと東京23FC、2人のGMが語る苦節と夢

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

海外からも注目されるユニフォームのデザイン

奈良クラブ
毎年、海外からの注目も集める奈良クラブのユニフォーム。09年には胸に『せんとくん』がデザインされた【写真:宇都宮徹壱】

──奈良には今、J3仕様のスタジアムはあるんですか?

矢部 奈良市鴻ノ池陸上競技場、今年から「ならでんフィールド」と呼ばれるようになったんですけど、今はJ3仕様になっていますね。僕らが13年にJ3に手を挙げた時には、Jリーグからダメ出しされたんですけど、その後は行政も動いてくれて2年前のオフに改修されました。今では指定管理も入っていますし、ピッチもJFLでは一番いいという評価を受けています。

──東京23FCは現在、江戸川区を拠点に活動していますが、あくまで東京23区全体をホームタウンにしようと考えているんでしょうか? それとも今後も江戸川区にこだわり続けるのでしょうか?

原野 ウチは東京23区内の初のJクラブを目指しているのですが、最終的には江戸川区を中心に総合型スポーツクラブと作ることです。ただありがたいことに、江戸川区でもウチのファンやサポーターは増えてきていますし、行政とのパイプも強くなっています。ですので、そうした地域とのつながりは、今後も大切にしていきたいと思っています。

──矢部さんにお聞きします。奈良クラブといえば、毎年のオフに発表される来季のユニフォームのデザインがサッカーファンの間で話題になっています。ある意味、クラブとしての話題作りの戦略的な部分もあるかと思うのですが、いかがでしょうか?

矢部 これは奈良クラブになって2年目の09年、関西2部のときに平城遷都1300年記念マスコットの『せんとくん』が胸に入りました。そして11年から中川政七商店さんにデザインをお願いするようになって、今季で5シーズン目になりましたね。おかげさまで、毎年オフになると風物詩みたいなのにもなって、HPのサーバーがダウンするわ、海外のメディアに取り上げられるわ(苦笑)。ありがたいことに最近では、全国のファンがウチにユニフォームを買ってくれるようになりましたし。

──東京23FCのアドバンテージとしては、やはり「クラブが東京にある」ということですよね。クリエイティヴな人材も集めやすいでしょうし。

原野 それもあるんですが、周囲に大学が多いので意欲のある大学生には積極的に運営にも関わってもらっています。運営に関しては、「東京のかっこよさというものをしっかり表現したい」ということで、ホームゲームのときはスタッフは基本的にスーツ着用です。中には「カッコつけている」と言う人もいるんですけど(苦笑)、ウチは人件費が少ない中では頑張っているほうだと思うんですよね。もちろん、関東リーグでできることにも限界はあるので、できるだけ早くJFLに上がりたいというのはあるんですけど。

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