混乱の末にデ・ブール解任。前代未聞の監督オーディションへ
分厚い戦力を整えたはずのインテルは、大いに序盤戦で低迷することになった。エリック・トヒル会長を筆頭としたクラブのマネージメントがあまりに混乱していたからだ。契約延長を渋られてモチベーションを落としていたロベルト・マンチーニ監督を無理矢理続投させ、その結果プレシーズンでフロントと亀裂が入り開幕2週間前に辞任。そして彼らはフランク・デ・ブール監督を招聘するのだが、これが混乱を助長した。
海外にネットワークのある代理人のプッシュで獲得したはいいが、イタリアサッカーと異なるマインドを持つオランダ人指揮官に急増でチーム作りをやらせようとしたのは間違いなく無理があった。
オランダ仕込みのポゼッションを形からやらせようとした結果、ラインを上げてボールを繋いでも展開が遅く、そのうちにプアーな組織守備をカウンターで突かれて破れる試合が続出。かつ自らの戦術や指導方針に難色をつけた選手には厳しく当たって戦力外措置を取るなど、強引な規律の守らせ方をして現場からは悲鳴が上がった。
結局デ・ブールは11月に解任。その後蘇寧グループ幹部の立会いのもと、イタリアでは前代未聞の監督オーディションが行われたのちに、元ラツィオのステファノ・ピオーリが招聘された。イタリアサッカーを熟知するこの指揮官は難しい状況ながら丁寧な選手のマネジメントを行い、チームを正常に機能させていく。
就任初戦のミラノダービーはドロー。CL進出に向けて当該のライバルとなるナポリには敗れたものの、それ以降は4連勝を記録。今季は良い試合を展開しているジェノアやラツィオを破るなど、強豪らしい強さをきっちり見せて勝ち点を積み上げてきている。
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