「本当に嬉しくて、入団を即決した」(小田逸稀)
サガン鳥栖U‐15唐津から「全国制覇を成し遂げたい」と名門・東福岡の門を叩き、300人近い大所帯のなかで2年生からレギュラーをつかみ取った。最後の冬は5日の準々決勝で東海大仰星(大阪)に屈し、試合後には悔しさから大泣きしてしまった小田だが、オファーを受けた瞬間に「本当に嬉しくて、入団を即決した」というアントラーズでの挑戦が、息つく間もなく幕を開ける。
「この大会ではチームのために何もできなかった。いまよりももっと、もっと厳しい環境のなかで、チームに必要とされるサイドバックになりたい。自分の特徴を生かしつつ、素晴らしい先輩方を見習いながら、自分のいいところをどんどん伸ばして、悪いところも直していきたい」
レアル・マドリーとのクラブワールドカップ決勝やフロンターレとの天皇杯決勝は、もちろんテレビ越しに観戦した。そのたびに「勝者のメンタリティーというものが見えた」と、小田はちょっぴり興奮した口調で瞳を輝かせる。
「各ポジションの選手たちのしたたかさと、しっかりと仕事をしていく姿がすごいと思いました」
涙はもう乾いた。いまは常勝軍団の一員になれる喜びと、できるだけ早く屋台骨を支える存在になりたいと燃える思いが小田を武者震いさせる。すでに若手による自主トレを開始しているアントラーズは、主力組や新風を吹き込む新加入組が順次合流しながら、17日から新シーズンへ向けて本格的に始動する。
(取材・文:藤江直人)
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