逆転勝利を呼び込んだスソとボナベントゥーラ
決定的だったのは、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督がこの試合でも温存せずに使った両ウイングだった。先制点では、スソが中央からカットインでボールを運んだ末にシュート。これはハートに弾かれるが、そのこぼれ球を左サイドでジャコモ・ボナベントゥーラが拾う。そしてグラウンダーで折り返した先には、ファーサイドからユライ・クツカが詰めて来てシュートを豪快に叩き込んだ。
そしてその3分後の追加点にも、やはりこの2人が絡んでいた。トリノがカウンターに出ようとした際、前線でボールキープを図ったベロッティからグスタボ・ゴメスが勇敢に上がってボールを奪う。するとそのボールは、やや内側のポジションを取っていたスソへ。スソは左足で浮き球のパスを前線へ送ると、そこに左サイドから鋭角に走りこんで来たのはボナベントゥーラ。そのままダイレクトで合わせ、ミランは逆転に成功したのだ。
「正直何が良かったのか自分でも分からない」とモンテッラ監督は試合後に語っていたが、やはりターンオーバー制を自重してミランの調子を左右する2人を使ったから、ということに尽きるだろう。相手が強いトリノだったからこそ、苦しい展開の中で試合を決めることできる『個』の力が余計に重要だったのである。
なお本田圭佑は後半1分からアップを命じられていたものの、スソとボナベントゥーラの調子が持続していただけに出場はならなかった。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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