診断
補強診断 A
ピンポイントでの補強は、おおむね成功したと言える。まずマネは、ビッグクラブで活躍できるか懐疑的な目が向けられていたが、9得点(4アシスト)を挙げてここまでチームのトップスコアラー。フリートランスファーで獲得したマティップもバック4に落ち着きをもたらし、一部メディアにおいて「今季最大のお買い得選手」と形容された。
同じくCBのクラバンも序盤戦はプレータイムが少なかったがマティップのケガもあり、11月下旬から出場機会が増えた。派手さはないが堅実な守備で、ここまでは及第点といえるだろう。
ワイナルダムも指揮官の目指すサッカーに素早くフィットしてチームに貢献し、今ではレギュラーに定着した。唯一カリウスには、今のところ疑問符がついている。シーズン途中からミニョレより守護神の座を受け継いだものの、12月上旬にミスを繰り返してベルギー代表GKにゴールを譲った。それでも、この若手のホープの存在がミニョレを刺激したのは確かで、さらに今後再び正GKとして成長する可能性は十分にある。
総合力診断 B
今あるスカッドは、現時点ではクロップ監督が考えるベストなものだ。それでもこの若いチームにはまだまだ改善の余地があり、今後は経験値をアップさせて引き分けを勝ちにできるような“本物の強さ”を手に入れたい。同時にパフォーマンスの波をなくし、継続して高い次元のプレーができるようにならなければ、欧州のトップクラブに返り咲くのは難しいだろう。
補強も必要だ。ポジションで見れば、やはりまだ守備陣が心細い。GKにはワンランク、いや2ランク上のレベルの選手が欲しく、ディフェンスリーダーになれるような力強いCBも1枚加えたい。
成長過程にある攻撃陣には、怪我がちなスタリッジではなく、将来性豊かなで未来のエースになれるCFが手に入たい。それが叶えば、現有の攻撃的戦力をベースにしたまま基本的な攻撃スタイルも変えることなく、抜群のモチベーターとしての手腕に定評のあるクロップ監督とともに、攻撃陣の全体的なスケールアップが可能なはずだ。
(文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)
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