悲願のプレミア初優勝へ。後半戦は守備をよりタイトに
とはいえ、後半戦への課題として最初にケアすべきは、その守備をより安定させることだろう。以前よりは改善されて1試合の平均失点数は1.15だが、優勝するためには後半戦の平均失点数を1以下に抑えたいところである。
そのためには、見ている者を魅了するようなフリーフローのアタッキングフットボールを続けると同時に、チーム全体の守備の意識をさらに高めて、より徹底した前線からのプレッシングやトラックバックを行うべきである。
3-4で負けた12月上旬のボーンマス戦後、クロップ監督は「私たちがドアを開けてしまい、そこを敵が入り込み素晴らしいゴールを決めた。当然の結果だ」と勝った相手を褒めた。敗者としては潔く、好感も持てる。しかし同時に、より守備をタイトにして勝つべきで、勝たなくてはならない試合だった。
今季のリバプールはまだ2敗しかしていないものの、敗戦を喫した相手はバーンリーと前述のボーンマス。どちらも完全な格下である。それに加えて、ここまで5つという引き分けの多さも目に付く。
そういった中堅・下位からの取りこぼしをなくして、さらに引き分けを勝ちにすること。優勝するためには、今後最大の課題といえる。そのためにはチーム全体に伝わる強い精神力と、そして強烈なキャプテンシーが必要となる。しかしスタイリッシュなサッカーをする現チームには、そのような激しさを備えたキャラクターが不足しているのもまた事実だ。
現チームでプレミアの優勝経験者は、マンチェスター・シティ時代に2度の戴冠を味わった副主将のミルナーと、チェルシー時代にプレミアに加えてビッグイヤーを経験したスタリッジの2人のみ。ただどちらも強烈なキャプテンシーでチームメイトをけん引するタイプの選手ではない。
チームに不足する経験値を補うために、リバプールは後半戦の早い段階で大型連勝したいところだ。連勝を重ねて自信をつけ、勢いをつけたいからだ。若くてビッグタイトルを手にした経験のない選手が多いのはどうしようないことだ。だが、ひとたび勢いに乗れば、逆にその若さが優位に働くはず。
戦術家というよりもマンマネジメント能力に定評があり、選手を乗せることに長けたクロップ監督だ。残り18試合、選手たちに発破をかけ続けて、レッズを悲願のプレミア初優勝に導くことができるのか。注目のリーグ後半戦はすでに始まっている。