ラニエリ監督の謎采配に選手も辟易?
だが結果以上に問題視すべきは、そのパフォーマンスだ。開幕からここまで、レスターは王者の風格を見せるどころか低調なプレーばかりが続く。カンテなき後のチームはどのように戦うべきなのかを、ただただ模索し続けてきた印象だ。
シーズンが開幕してすぐに明らかになったのが、前への推進力が足りず、昨季のチームから漲り出した躍動感は影を潜めたこと。昨季はバック4の前に配置されたカンテが、守備では独特の危機察知能力で敵の攻撃の芽を摘むと、その後は抜群のダイナミズムで生かして一気にボールを前線へと運んだ。カンテが前を向くと、守備から攻撃へのトランジションのスイッチが入り、チーム全体も一気にカウンターの態勢に入ることができた。しかし今季のチームにはそういった勢いがまるで感じられない。
岡崎が12月初旬のサンダーランド戦後に「去年、あり得ないことを達成して、多少は燃え尽きているところがあると思う」と波に乗れないチームメイトについて分析していたが、それはあるに違いない。その証拠に、初挑戦となるチャンピオンズリーグではモチベーションが高く、グループに恵まれたとはいえグループGで堂々の首位突破を果たした。
同時に、欧州で戦わなくてはならない二足の草鞋が影響したという見方もある。しかし最大の問題点は、ラニエリ監督の“迷”采配にある。行き当たりばったりで一貫性のない戦いぶりに、選手たちは混乱に陥って辟易している様子に映って見える。
だが直近の2試合で、つまりリーグ戦のミドルズブラ戦とFAカップのエバートン戦でイタリア人の老将は原点回帰を試み、一定の形が見えてきたようだ。バーディーが出場停止、さらにスリマニが風邪(その後、マフレズとともにアフリカネイションズカップに参加)して、文字どおり“怪我の功名”だったこともある。
それでも、バックラインの前に守備的MFを3枚並べてまずは守備を固め、そこから得意の速攻でゴールを目指すスタイルにした。