実質的に4-4-2のプレー時間が増えているバルセロナ
バルセロナといえば4-3-3、あるいはドリームチーム時代の3-4-3のイメージだが、実はフォーメーションにさほどこだわりはない。
コーチ、監督、強化部長を歴任したレシャックに聞いたところ、「フォーメーションは相手に合わせる」と話していた。育成段階からあらゆるフォーメーションに対応できるようなトレーニングをしているそうだ。
とはいえ、それは主に守備の話である。しっかりパスをつないで攻撃するバルセロナの場合、横幅を確保して展開の方向性を広く持っておくことが重要なので必ずウイングを使う。CFがゼロトップになることはあっても、ウイングレスの2トップはほとんどなかった。
ところが、現在のバルセロナは実質的に4-4-2でプレーする時間が増えている。
表向きはMSN(メッシ、スアレス、ネイマール)の3トップだが、メッシとスアレスによる2トップになっているケースが多いのだ。GKからパスをつないでビルドアップする対戦相手が増えたことと関係がある。
ゴールキックのとき、CBが左右に大きく開き、SBがポジションを上げ、MFの1人が開いたCBの間に下りてくる。この形のビルドアップは、もともとバルセロナが得意としてきたのだが、多くのチームが採り入れるようになっている。
バルセロナは前進守備が特徴なので、こうしたビルドアップに対してマンマークでハメ込んでいく。そのとき、左右に分かれたCBをマークするのは通常CFとインサイドハーフになる。しかし、バルセロナはCFのスアレスと右ウイングのメッシが相手のCBをマークする。その後ろは2人のインサイドハーフとアンカー+ネイマール(左ウイング)の4人、つまり守備の形は4-4-2になっている。
メッシを下げさせないためだ。通常ならメッシは相手の左SBをマークするはずだが、そうすると高いポジションをとる左SBをマークするためにかなりメッシのポジションを下げなくてはならない。
それではせっかくプレッシングでボールを奪ってもメッシが攻撃に加われなくなってしまう。年間40ゴールもとれる選手を相手ゴール前に投入できないのは得策ではない。