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レアルとバルサが採用、4-4-2という解決策。ロナウド・メッシの破壊力を最大化する守備陣形【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

ジダン監督とともにレアルは真の王者へ?

レアル・マドリーの4-4-2
レアル・マドリーの4-4-2

 監督に就任したジダンは15-16シーズンのCLを手にする。決勝のアトレティコ戦では、相手にボールを持たせる作戦を実行。ロナウドとベイルも深く引かせた。16-17シーズンは、4-3-3とともに4-4-2も採り入れ、さらに3-5-2も使っている。ジダン監督はレアルの守備を改善した。

 伝統的にレアルの守備に問題があるのは、必ず守らない選手がいるからだ。攻撃偏重の補強戦略なのだから無理もない。銀河系の時代はロナウド、ラウール、ジダン、フィーゴ(さらにロベルト・カルロス)の背後でマケレレが懸命に守って何とか体裁を保っていた。

 ただ、それだけではどうにもならないのでスターアタッカーも適宜に「マケレレ」となって守備をしなければならない。主にラウールが献身的に戻っていたが、誰と決めているわけではなく、そのバランスをデル・ボスケ監督が注意深く見守っていた。

 現在のチームで守らない選手はクリスティアーノ・ロナウドだ。年間40ゴールを量産するFWには特別扱いが許される。ただし、レアルが押し込まれる状況ではロナウドの左サイドは必ず穴になってしまう。そこでアンチェロッティはロナウドをトップに残す4-4-2を採り入れた。最大の武器を守備で消耗させずに前線に残す。ジダンも同じだ。ディ・マリアの役回りは主にルーカス・バスケスがこなしている。

 また、アンカーに守備力の高いカゼミーロを起用することで、4-3-3から4-4-2へのシフトも手の内に入れた。この場合はBBCのうち、ベイルが下がって4-4-2になる。さらにカゼミーロをDFに下げた3-5-2も使っている。

 アンチェロッティ監督のときには付け焼き刃にすぎなかった守備ブロックは、ジダン監督になってかなり強固になった。デル・ボスケ時代のスターを守らせる意識づけにも成功している。攻めても守っても強い、真の王者への道を歩みはじめたようだ。

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