苦しいミラン、選手交代で突破口
攻撃が機能しなくなったミランは、珍しく凡ミスが続いたジャコモ・ボナベントゥーラを下げるも試合の趨勢(すうせい)には変わりなし。果たしてこういう時は、どうやって敵陣をこじ開けたら良いのか。その答えが、後半34分のジャンルカ・ラパドゥーラの投入とシステムの変更であった。ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は中盤からマリオ・パザリッチを取り、4-2-4気味の並びにする。スソとエムバイエ・ニアンをさらにサイドに張らせて敵陣を広げるとともに、カルロス・バッカが孤立気味になっていた中央の厚みを増そうとするためのものだ。
全ての攻撃の手が抑えられ、結果的にこれしかないといった風情の采配ではあったが、これは功を奏した。後半43分、マッティア・デ・シーリオがオーバーラップを敢行し、クロスを上げる。これをエリア内で合わせに来たのはラパドゥーラだった。足元にボールを収めたのち、強引に反転してシュートを狙うプレイこそ失敗したが、相手に当たって跳ね返ったボールを倒れこみながら触り、前方のスペースへ流す。これに反応したバッカは、自身3ヶ月ぶりとなるゴールを決めた。
スペースが消され形をうまく作れない時でも、ターゲットを作って強引にボールを中央に寄せる。こういうオプションが残っていたからこそミランは勝利を収めることができた。すっきりとした形ではないが、これもまたチームとしての力の高まりを証明するものだ。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
【了】