連敗なしも、足りなかった勝負強さ
今年もまただめか…。
サポーターは何度も肩を落としたに違いない。風間八宏監督が率いて5年目。Jリーグで最もエキサイティングなサッカーを披露していた川崎Fだったが、結局すべてのタイトルがあと一歩のところで手のひらから滑り落ちていった。
1stステージで敗れたのは第8節の浦和レッズ戦のみだった。第16節にはステージ優勝の一歩手前まで迫るも、アビスパ福岡と引き分けてしまい、そのまま鹿島アントラーズに抜かれて栄冠には至らず。
2ndステージも含めて1年を通して連敗は一度もなかったが、終盤にかけて大事な試合で勝ちきれないことが多く、最終節のガンバ大阪戦で大逆転負けを喫して年間勝ち点1位の座も逃した。
チャンピオンシップでは1stステージを制して以降低調な戦いに終始していた鹿島アントラーズに敗れ、天皇杯ではクラブ史上初の決勝進出を果たすも、元日のファイナルでまたも鹿島に屈した。
それでも中村憲剛はJリーグの年間MVPに輝いた。序盤戦から好調を維持し、36歳ながら年間を通してハイパフォーマンスを維持。風間サッカーの核としてチームをけん引し9得点10アシストという数字も残した。不動のキャプテンは精神的にも川崎Fを支え、日本代表復帰待望論も出るなど惜しみない賞賛を浴びた。
後半戦の失速で4年連続得点王は逃したものの、大久保嘉人は厳しいマークに遭いながら15得点。小林悠も15得点9アシストとキャリア最高の輝きを放った。大島僚太はリオデジャネイロ五輪や負傷で離脱する期間がありながら凄みを増したプレーの数々で中盤を支え、チョン・ソンリョンは不在時にその重要性を再認識させる安定感を発揮した。
また2ndステージに入ってからは三好康児が大ブレイク。川崎Fの“ミヨッシ”は相手の間をすり抜けるような高速ドリブルと精度の高い左足キック、そして思い切りの良さで攻撃にアクセントを加え4ゴールを奪った。
車屋紳太郎やエウシーニョもサイドで奮闘し、終盤には2年目の板倉滉も台頭。戦術への順応に時間はかかったがエドゥアルド・ネットも正確かつパワフルなプレーで不可欠な戦力へと変貌するなどポジティブな要素の多かったシーズンだったが、何よりも悔やまれるのはやはりタイトル獲得を逃したこと、それに尽きる。