難病を克服したDFファビオ・ピサカーネ【写真:Getty Images】
英紙『ガーディアン』は29日、セリエAのカリアリに所属するDFファビオ・ピサカーネを2016年の年間最優秀選手賞に選出したことを発表した。同紙によって今年より新設されたこの賞は、逆境を乗り越えただけではなく、その行動と誠実さで模範となることで他人をも勇気づけた驚くべき行為を行った選手に贈られる賞となっている。
ピサカーネは30歳のイタリア人DFだ。これまでイタリア下部リーグで戦って来た同DFは、昨季に加入したカリアリでチームの昇格に貢献。そして、今年9月18日に行われたアタランタ戦でセリエA初デビューを飾っている。
しかし、ここまでの道はかなり険しいものだったようだ。ピサカーネは、14歳の時に難病のギラン・バレー症候群を発症。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気であるこの難病を患ったことで、キャリアの終焉を迎える危機に陥ったとされている。
そしてその難病に打ち勝ち、ようやく初のセリエAの舞台に立った。この賞を受賞したピサカーネは、「正直に言って、僕は模範になるようなことは何もしていない」と謙遜。そして、「あの病気は僕を殺しに来たわけじゃないんだ。今思うと、あの病気は僕に何かポジティブな物をもたらしてくれた」と述べ、受賞したことへの驚きを示しながら前向きな発言をしている。
さらに同紙は、ピサカーネが過去にイタリアマフィアの一つである“カモッラ”のボスから試合で八百長するよう提示されたオファーを断り、検察に通報した勇気も称賛。
セリエAデビュー戦後のインタビューで思わず感極まってしまったピサカーネは、逆境を乗り越えて掴んだ現実を心から味わっているようだ。
【了】