高まりを見せるベトナムのサッカー熱
輝きを放てなかったグエン・コン・フオン【写真:Getty Images】
ルオン・スアン・チュオン以外では、MFグエン・バン・トアンとSBブー・バン・タインがレギュラーで出場し、若く躍動感溢れるプレーで対戦相手を苦しめた。その一方で、輝きを放てなかったのは“黄金世代”の主役であるはずのグエン・コン・フオンだ。
初先発したグループステージ最終節カンボジア戦では、味方センターバックが前半7分に退場して、開始早々に交代を命じられるという不運もあった。以前から指摘されていた運動量の少なさやオフザボールの動きの悪さはレンタル先のJ2水戸ホーリーホックで多少改善されたとはいえ、結局、大会中にグエン・フー・タン監督の信頼を勝ち取るには至らず、3番手のフォワードという位置に甘んじた。来季はベトナム復帰が濃厚とされているグエン・コン・フオン。日本での武者修行を経て、覚醒した姿を見せてくれる時をファンは心待ちにしている。
全体的には、高い期待値の割に不完全燃焼で終わったという印象が強い今大会のベトナム代表。国内リーグで外国人ストライカー頼りのサッカーをしているせいか、ここぞという場面での決定力を欠いたほか、守備陣のお粗末なミスがあまりにも目立った。グループステージは全勝だったが、全て1点差での辛勝。会心の勝利と言える試合は一つもなかった。
それでも、ホームで迎えた準決勝2ndレグでは、試合前から非常な盛り上がりをみせて、代表人気の健在ぶりを示した。最後のキーワードは、この国のサッカーの未来にも繋がっていく重要なもの、ベトナムのサッカー熱の高さである。
準決勝2ndレグの会場となったハノイ市ミーディン国立競技場では、チケット発売日の前日から大勢のファンやサポーターが寒空の中を徹夜で並ぶ姿がみられた。徹夜しても購入できなかった一部のファンがベトナムサッカー連盟に抗議するため、大挙して押し寄せて門を破壊するという騒動も発生。