井手口らが台頭するも…タイトルに手が届かず
アデミウソンは宇佐美貴史やパトリックとの連携確立に苦しみ、藤本も一時はJ3のU-23チームが主戦場になるなど主力の座を脅かせない。
ACLを最優先にした影響もあり、Jリーグの1stステージは波に乗り切れなかった。1トップと2トップを併用しながら打開を図っても、宇佐美やパトリックも本来の力を発揮できず、停滞感はチーム全体に波及していった。
結局1stステージは7勝3分7敗で6位。優勝はおろかチャンピオンシップ出場権すら危ぶまれる状況だった。しかし、夏に宇佐美がアウクスブルクへ移籍してから風向きが変わり始める。
長谷川監督はシステムを4-2-3-1に固定し、アデミウソンを1トップに据える。すると前線で自由を得たブラジル人アタッカーが躍動。ゴールだけでなく崩しの局面で違いを生んだ。長期離脱から復帰した長沢駿も途中出場がメインながら自己最多の9ゴールを挙げ、大事な場面で輝く勝負強さを見せた。
そして何と言っても井手口陽介の台頭は見逃せない。もともと評価の高かった守備力が研ぎ澄まされただけでなく、攻撃面にも磨きがかかって1年で一気に中盤の柱へと成長を遂げた。年上の選手たちに混じってリオデジャネイロ五輪出場を果たし、A代表からも初招集を受けるなど飛躍の1年となった。
2ndステージ4位につけたものの、最終的には年間勝ち点が1ポイント足りずにチャンピオンシップ出場権獲得を逃した。天皇杯でもベスト8で横浜F・マリノスに敗れ、来年のACL出場権を獲得できず。新スタジアムで臨んだ最初の1年は悔しさばかりが残ってしまった。