東日本大震災時の教訓が込められた八戸のスタジアム
たとえばJFL所属のヴァンラーレ八戸FCは、5200人収容とJ3基準を満たすダイハツスタジアム(八戸市多賀地区多目的運動場)を、今年9月からホームのひとつとして使用している。
メインスタンドの後方に、4階建ての管理棟がひときわ目立つ構造。そこには2011年3月の東日本大震災から得た教訓が込められていると、実際に現地を視察した村井チェアマンは言う。
「ダイハツスタジアムが建てられた場所は津波で大きな住宅被害を受けたエリアであり、地域の皆さまには『ここに4階建ての建物があったら』という思いがありました。そこで八戸市は多目的運動場を整備するとともに、有事のときには地域の住民がいっせいに避難できる、日常機能を有する管理棟兼津波非難施設を作ったわけです」
来シーズンからJFLへ昇格することが決まっている、岡田武史・元日本代表監督(日本サッカー協会副会長)がオーナーを務めるFC今治のホーム、今治スタジアム(仮称)も来夏にオープンする。
同じく5000人収容でJ3基準を満たしていて、今治市が用地を無償で提供。FC今治を運営する「株式会社今治.夢スポーツ」が建設する形で、計画から約2年7ヶ月という速さで完成させる。
こうした動きを日本サッカー界にとってポジティブだと受け止めている村井チェアマンは、有識者を交えた検討委員会をJリーグ内に発足させて、議論の場を移すことで合意していると明かす。
「10人程度の会議をイメージしています。サッカー専用スタジアムではないスタジアムを使用しているクラブのなかで、実際に専用スタジアム建設へ向けて動いているクラブとそうではないクラブの人間に、国内外のスタジアム事情などに明るい有識者もまじえる形で、既存および新規入会のクラブにおけるスタジアム基準の在り方や今後の方向性について、しっかりと議論していきたい」