入れ替え戦を制し何とかJ2残留
J1昇格1年目の昨季は12位に躍進して注目を集めた金沢だったが、今季は序盤から苦しい戦いが続いた。初勝利は第12節のレノファ山口戦で、開幕から10試合(第8節は延期)は2分8敗と大きく出遅れた。
結局最後まで最下位付近をさまよい続け、終盤4試合負けなしでなんとかJ2・J3入れ替え戦に出場できる21位を確保した。山崎雅人や熊谷アンドリューら新加入選手たちは懸命に戦ったものの、清原翔平ら昨季の躍進を支えた主力たちの抜けた穴を埋めきれなかった。
そして最も大きな問題だったのは得点力不足だ。チーム総得点はリーグワーストの「36」で、1試合平均1点を下回っていた。二桁得点を挙げた選手はおらず、守備が踏ん張っても勝ち切れない原因となっていた。
失点数も昨季の「43」から「60」に増え、浮上のきっかけを全くつかめなかった。レギュラーメンバーを固定できたのも夏に中美慶哉と秋葉勝が加入して中盤に柱ができてからで、チームとしての確固たる形を作るのに手間取ってしまった。
栃木SCとのJ2・J3入れ替え戦を制してなんとか残留を果たしたが、来季の現実的な目標はJ2残留になるだろう。5年間金沢を率いてJ2まで導いた森下仁之監督の退任と柳下正明新監督の就任が決まっており、来季は文字通り再出発の1年となる。
期限付き移籍で金沢に在籍していた選手たちの動向や、戦力アップが見込める補強の状況も不透明で、来季も苦しい戦いを強いられる可能性が高い。得点力向上、守備の強化、選手層の拡充…J2残留のために課題は山積みだ。
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