ミランはどのように挽回したのか
彼らが盛り返すことのできた理由について、三つのポイントに集約すれば以下のようになる。まず一つは、相手のハプニングが生じたところを果敢に攻めて流れをつかんだことだ。前半ユベントスには、この左サイドバックのオーバーラップを軸に徹底的に攻められたが、前半33分に故障し、交代を余儀なくされる。
これで守備に押し込まれていた右ウイングのスソが、高い位置を取ってボールを受けることができるようになった。そして、今度はこのスペイン人がチャレンジを繰り返した。パトリス・エブラの裏を狙って縦に突破を仕掛け、クロスを放つ。そうかと思えば中へと切り込んで左足でクロスを放ち、これが前半38分の同点ゴールにつながった。
一方、果敢なチャレンジをして流れを引き寄せた選手はもう一人いる。左ウイングに起用されたジャコモ・ボナベントゥーラである。対角のスソが頑張る一方で彼もドリブルで勇敢に仕掛け、シュテファン・リヒトシュタイナーのファウルを誘って前半に警告を喰らわせている。そしてスソのクロスに対し、強くプレッシャーを掛けられなくなったリヒトシュタイナーを振り切って中へと走り込んで頭を合わせたのは、まさにこの人だった。
両サイドでこの2人がそれぞれ対面の選手に勝ったことから、ミランは主導権の掌握に成功した。一方のサイドにボールを集め、相手選手を引き寄せて翻弄した後で、逆サイドに振る。こうしてミランは多くのチャンスを作り、90分間を終えた時点で相手を上回るシュート数を記録するまでになった。
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