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レアル戦でも「いつも通り」の鹿島。“白い巨人”に奢り見えるも、追い込んだのはその実力【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

ロナウド起用のツケ。キーになるのは割を食う選手

 カゼミーロがレアルで不可欠の選手といわれるのは、彼が世界一のディフェンシブハーフだからではなく、代わりの選手がいないからだ。銀河系時代のマケレレと同じで、攻撃過多のチームを支えられる人材が1人しかいない。

 スターを気分良くプレーさせておけば放っておいても得点はできるが、すべての選手を好き放題にプレーさせることもできない。スターとスターをつなぐ選手が必要で、アンチェロッティ監督のときはディ・マリア、ジダン監督ならルーカス・バスケス。スターの間でハードワークする選手、別の言い方をすれば割を食う選手がこのチームのキーマンになる。

 ジダン監督は伝統のアンバランスを補正するために、フォーメーションの使い分けも導入した。

 基本は4-3-3だが、ロナウドとベンゼマの2トップによる4-4-2、さらに3-5-2も使う。要は、ロナウドの使い方。本人が希望する左ウイングに置けば守備に問題が生じる。しかも背後をカバーするSBマルセロも攻撃型ときている。しかし得点源のロナウドは外せない。

 そこでトップに残すわけだが、そのツケはベイルやルーカス・バスケスやイスコが負担することになる。それを納得させるうえで、ジダン監督のパーソナリティーと選手時代のカリスマ性は大きな助けになっているに違いない。

 場合によってはロナウドとベイルまで撤退させているが、これができるのはおそらくジダンだけだ。

 ジダンが真の名監督となるには、まだいくつかのハードルはあると思う。ただ、レアル・マドリーを率いるのに向いた監督であるのは確かだ。

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