両指揮官の手腕にも注目
そして、今季から就任した優秀な監督のもとで変身したということもミランと似ている。監督は、ジェノアを長年率いたジャンピエロ・ガスペリーニ監督だ。もともと若手の育成に定評のあるこの指揮官のもと、選手たちは効率よく動いてサッカーをすることを体に叩き込まれている。試合を見ると走力で相手を圧倒していると思いきや、試合後の走行距離積算データを見てみると相手よりも下回って驚くことがある。実際、一試合での平均走行距離は全チームの間で低い方に位置する。全体をコンパクトに保ち、無駄がなく走れている証拠だ。
彼らに対し、同様に組織のコンパクトネスを武器にするミランがどういう戦い方をするのか。前節のローマ戦では敗れたものの、特に前半の内容は良かった。「ローマ戦ではパフォーマンスの上で成長が見られた。チームは自信を深めているようだった」とモンテッラ監督は評価したが、果たして相手よりも効率よく走って、切り崩せるか。指揮官によれば「ボールを回し、足元にボールをキープした状態で1対1の勝負にどれだけ勝てるかがポイント」とのこと。勝負はチームプレーのみならず、個人の上でもどれだけ仕掛けができて抜けるのか、というところで決まりそうだ。
なお、久々の登場ながら前節で上々のパフォーマンスを演じたアンドレア・ベルトラッチが、マヌエル・ロカテッリの代わりに中盤の底として先発する予定。エムバイエ・ニアンは今度こそ先発からは外れる模様だが、その代わりには左ウイングにジャコモ・ボナベントゥーラが起用されるようだ。本田圭佑は、またもベンチスタートとなる。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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