「燃え尽きている」「『昨季は…』というのを早い段階で捨てないと」(岡崎)
今月3日。下位に低迷するサンダーランドに不甲斐ない戦いぶりで負けた後、岡崎は次のような話をした。
「去年、あり得ないことを達成してしまって…。頭では分かっていても、たぶん多少は燃え尽きているところがあると思う。達成感というのがあると思うし。『昨季は…』というのを早い段階で捨てないと、えらいことになるなと感じている。そういう意味では、自分はまったく満足せずにシーズンを終えることができたので、みんなよりモチベーションが高いと思うし、助けることができると思う。チームを助けたいですね。いまの状況では」
率直な気持ちだろう。その言葉どおり、前半戦のレスターで唯一及第点を出せるのは、ひいき目なしに見ても岡崎くらいだ。マンC戦のためにキングパワースタジアムへ向かうタクシーで相乗りしたレスターファンは、筆者が日本人記者であることが分かると「不振のシティで唯一の光明がシンジだ」と話していた。
地元紙『レスター・マーキュリー』のロブ・タナ―記者も、岡崎が今季5得点目(すべての大会を通じて)を挙げたサンダーランド戦後に「スリマニもバーディーも最悪だった。なぜ好調のシンジを先発させないのか分からない」と首をひねった。
それでも…。このような状況で、ラニエリ監督はマンCに圧勝するパフォーマンスを選手にさせた。さらに昨季は、普通に考えれば残留争い、最高でも中位にならば御の字というチームを優勝に導き、史上空前のアップセットを巻き起こした。名将と称えられるべき監督かもしれない。しかしながら、今季の無策のチームを見ると、ただの強運の持ち主なのではないかと勘ぐってしまう。
良く言えば、イタリアの伝統的なスタイルを好む監督。悪く言えば、守備とロングボールだけしか使えない古い考えの監督。指揮官の指示がチーム内に浸透し、よく練習をしているチームとは試合を見ていると分かりやすいものである。レスターの場合は、昨季から一度もそれを感じたことがない。
モチベーターとしての能力の高い前任のナイジェル・ピアソンが、チームに勢いを与えて試合に臨む“イケイケドンドン”のスタイルをそのまま継承したラニエリが、「奔放」といえば聞こえがいいが、勝手に試合をやらせていたような気がしてならない。