城南のケースは特殊だが、市長の「野望」が悪影響を及ぼしたのはたしか
城南の場合は仁川、江原FCとは少し違う。ある意味特殊だ。市長が決してサッカーに力を入れなかったともいえず、いろんな話題づくりに自ら手を出した。今季、同じく市民クラブである水原FC(高原直泰がプレーした水原三星とは別のクラブ)との直接対決の際には「負けたら市からクラブを剥奪しよう」と提案し、メディアの注目を集めた。
また企業クラブには自分のフェイスブックで「観客収益を寄付しよう」と提言するなど、サッカーを通じた社会活動にも力を入れた。これは高い評価をすべきであろう。
しかし降格への暗雲が近づく中で、ちょうど韓国社会を揺さぶる大きな出来事が起きてしまったのが城南の降格を加速化してしまった。李市長は、次期大統領就任へ色目を見せ、活発にテレビやラジオに出演。政権に対する批判を続けたが、サッカー関連の発言はほとんどなくなった。
もちろんこれが本来の彼、政治家としてあるべき姿なのかもしれないが、クラブのオーナーとしてサッカーに関わる時間は激減。低迷するクラブを救う手も打てなかった。昇降プレーオフの際に筆者は現場取材に行ったが、市長の姿はその場になし。オーナーが見守らない中、韓国の名門が降格してしまったのは一サッカーファンとして残念だ。
だが、彼だけの責任と言えるだろうか。改善すべき慣習が韓国サッカー界ではマンネリ化している。素人の市長ではなく、エキスパートに任せればいいのだが、市民の税金で組まれる財政上、簡単ではない。この問題を抱える以上、政治とサッカーの関係を断ち切るのは難しい。日本の読者の皆さんにはこの問題がどう映るのだろうか。
(取材・文:キム・ドンヒョン【城南】)
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