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朴槿恵大統領失脚が引き金に。元アジア王者・城南FC低迷を招いた“韓国のトランプ”の野望

text by キム・ドンヒョン photo by Kim Donghyun , Getty Images

かつては統一教会が支援。今のオーナーは“韓国のトランプ”

 次期韓国大統領候補として連日話題に事欠かない李在明(イ・ジェミョン)氏は城南FCのオーナーだ。彼は城南市の市長を務めており、韓国では最も成功した弁護士出身の政治家の1人として挙げられている。

 特に文化、スポーツ、福祉などに力を注ぎ、特に今回の朴槿恵シンジケート問題に関しても国民の声を代弁するかのような直接的な発言を続けている。日本のメディアでは「韓国のトランプ」として描かれているようだが、その過激な発言の裏にしっかりとした政治力を持っていると評価されている一面もある。

 彼は最初から望んでこの城南FCのオーナーになったわけではない。このクラブはかつて日本でも有名な宗教団体・統一教会が所有する企業「一和(イルファ、メッコールの製造などで知られる)」が持っていた企業クラブだった。

 統一教会の初代教祖である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏がサッカー好きだったこともあり、手厚くバックアップ。韓国最高のクラブとして君臨してきた。だが、文氏死去後の2012年から状況は激変。一和はサッカークラブの運営をやめる意向をほのめかした。最多チャンピオンクラブが、存続さえ保証できなくなったのだ。

 しかしその時、城南市は一和から城南を譲渡される形でクラブを受け取った。市長の李氏がオーナーを任せられ、城南は市民クラブとして再誕生したのである。

 当初は李氏がここまで力を入れるとは誰も想像しなかった。そこにはわけがある。「韓国の市民クラブのオーナーは今までホームタウンの市長が担当する」というのが慣行であったためだ。

 市の財政からクラブにかかる費用などが割り当てられるため、一見妥当なシステムとされるが、ここには大きな矛盾が存在する。市長は政治家であり、スポーツ行政・運営に関してエキスパートであるとは限らない。そのため今までの市民クラブには問題が多々起こり、特に政治や経済面から大きな穴があいた。しかも塞がることがなく開けっ放しだ。

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