同期入団の本山雅志、中田浩二は既に退団
スタジアムを沸かせたスーパーセーブを当然の仕事とばかりに、むしろ照れくさそうに振り返る。そのうえで昌子をはじめとする守備陣への感謝の思いを、忘れることなく言葉として添える。
「フィールドの選手に比べたら、ゴールキーパーはそれほど疲れていないので。フィールドの選手もしっかりと最後まで走っていたし、メンバーが多少変わってフレッシュな選手が出たなかで、途中出場の選手も含めて1回戦、そして今日の準々決勝としっかり結果を残してくれている。
とにかく点を取らなければ勝てないわけですから、その意味ではゴールを決めた2人を含めて、チームとして2点を取れたことは大きい。(金崎)夢生もけがでフル出場できないなかで2試合続けてゴールを決めたし、(鈴木)優磨も左肩を痛めているのにしっかりとアシストしましたからね」
小笠原は岩手・大船渡高校から、曽ヶ端は鹿島アントラーズユースから、ともに1998シーズンに加入した。前者は1年間だけセリエAのFCメッシーナでプレーしたが、後者は19年間アントラーズ一筋だ。
同期入団のMF本山雅志(現ギラヴァンツ北九州)、守備のオールラウンダー中田浩二(2014シーズン限りで現役引退)とともに、2000シーズン前後からレギュラーとしてアントラーズをけん引してきた。
チームのグランドデザインを決して変えず、そのなかで高卒の有望ルーキーを3年ほど主力と切磋琢磨させながら常勝軍団の歴史と伝統を継承させるチーム作りで、アントラーズは他と一線を画してきた。
世代交代のタイミングは、主力が30歳前後になったとき。小笠原は元ブラジル代表のビスマルクから、曽ヶ端は190センチの長身ゴールキーパー・高桑大二朗からそれぞれポジションを奪った。
2人はともに1979年生まれだから、アントラーズが前人未到のリーグ戦3連覇を達成した2009シーズンが、フロントが当初思い描いていた次世代へのバトンタッチの時期となる。