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アジア王者が味わった天国と地獄。審判買収事件で揺れた全北現代、クラブW杯で幸せな結末を迎えられるか?

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

リーグ戦では苦杯もACLでは歓喜。天国に昇りつめる

 全北はこの件を受け、社長、監督およびクラブスタッフが謝罪し、当事者であるスカウターは退職処分となった。そして試合のパフォーマンスにも影響があったのはある意味、当然だ。

 無敗を走っていた全北はこの件以降、前半期のきらめきをなくし、リーグ最終戦でもFCソウルとの直接対決に敗北、逆転優勝を許してしまった。しかもFCソウルには今季一回も負けを喫していなかったほど好相性だっただけに、チームにとって傷となった。そしてプレシーズン、大胆な補強で「優勝は当たり前」とされたチームであっただけに最悪の結末だった。

 ところが、リーグではライバルにトロフィーを譲ったものの、アジア王者、そしてクラブW杯出場権がかかったACLではまさに天国のような感覚を味わった。グループリーグではJリーグのFC東京に2連勝を挙げるなどJ勢に強さを発揮し、軽く突破。トーナメントでは広州恒大(中国)、FCソウル(韓国)などアジアの強豪を次々と撃破し、決勝へ進出した。

 11月19日(土)、26日にホーム・アウェイで行われた決勝。相手はUAEの強豪、アル・アイン。2018ロシアW杯最終予選第一戦で日本を苦しめたオマール・アブドゥラフマンがエースとして活躍するクラブでもある。全北で開かれたファーストレグには、筆者も現場に迫った。

 前半はお互い、消極的な様子。しかし後半になると、試合が動いた。アル・アインが先制に成功したのだ。全北の守備にできた小さい隙を見逃さなかったアスプリージャが冷静にゴールネットを揺らした。

 しかし直後、全北の猛攻が始まり、7分後、スパーゴールが生まれた。左サイドから切り込んだレオナルドがキーパーが到底止められない軌道にシュート、これがそのまま入り、振り出しに戻す。

 そしてその10分後はキム・シヌクがペナルティキックを獲得。キッカーはレオナルド。冷静にキーパーの反対側に蹴りこみ、逆転に成功した。「全州城」(全州ワールドカップスタジアムの愛称)はまるで崩壊するかのように揺れた。サポーターの応援は試合が終わるまで止まらないなか、アル・アインの猛攻をしのぎ、リードを守った全北が2-1で勝利した。

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