鹿島らしさと「永木らしさ」
ゴールを喜ぶ赤崎秀平と金崎夢生【写真:Getty Images】
その過程でセカンドステージ終盤の泥沼の4連敗、そこからのV字回復と自身にとって初めてとなるJ1のカテゴリーでのタイトル獲得、そしてアントラーズとしても初めて臨む世界大会を経験した。まるでジェットコースターのようなアップダウンを、永木はこう振り返る。
「日頃の練習から『鹿島のサッカーに馴染んでいけるように』というのをずっと意識してきましたし、終盤になってからは体が勝手に鹿島のスタイルで動けるようになってきた、という実感もある。悔しい思いをしてきましたけど、それでも練習からしっかり取り組んだ成果がいまにつながっているのかなと。
タイトルを獲りたくて鹿島に来たというのもありますし、鹿島で試合に出ることで日本代表にも呼ばれたことは非常に嬉しかったけど、自分が出ているのにチームがなかなか勝てない時期もあった。責任感も感じたなかで、鹿島の伝統や勝負強さを実感できたことは自分のサッカー人生にとってもプラスになります」
鹿島らしさを意識するあまり、なかなか自分らしさをピッチで表現できなかったのがファーストステージだったのだろう。不断の努力を重ねながら、時間の経過とともに新天地に順応したいま、アントラーズのフロントが求めた「永木らしさ」も顔をのぞかせるようになる。
その象徴が、オークランドシティ戦で同点弾をアシストしたシーンだった。ボールを奪うだけではなく、前へ、前へと力強く運ぶ。自らも相手にとって危険な地帯へ顔を出し、フィニッシュにも絡む。ベルマーレで何度も見せ、当時から日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督を唸らせてきたプレーでもあった。
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