プレーオフ決勝は「一発勝負の戦い方ができなかった」
バトンは再び23歳の昌子に渡る。敵地・埼玉スタジアムでレッズから2‐1の逆転勝利をもぎ取り、アウェイゴール数の差で7シーズンぶり8度目の年間王者を勝ち取った3日の決勝第2戦後。松本山雅の劇的勝利に刺激されたと明かしたうえで、岩政の心中をいたわった。
「試合の展開としては違いましたけど、勝たなきゃダメという状況としては僕らとホンマに一緒やったと思うので。僕はだいぶ後輩ですけど大樹さんのことは気にして見ていますし、大樹さんも僕らの結果を知ってくれていることは嬉しい。
ただ、前に僕が記者の方に言ったことで大樹さんが『変なプレーができなくなった』と言っていたのも読んだので、今日は大樹さんのことを言うのはやめようと。明日がありますから」
昌子の言う明日とは、4日のプレーオフ決勝に他ならない。果たして、雨中の敵地・キンチョウスタジアムに乗り込んだ一戦は、後半7分にコーナーキックから許した先制点を取り返せないまま、ファジアーノ史上で最大の挑戦の終わりを告げる主審のホイッスルが鳴り響いた。
最後はパワープレー要員として前線にあがり、空中戦からゴールを狙い続けたキャプテンは毅然とした表情を浮かべ、胸を張りながら「セレッソが勝つべくして勝った」と0‐1の最少スコア以上の完敗を認めた。
「自分たちがやりたかったことができなかった。失点自体はそんなに問題ではなくて、どちらかといえば1点も取れなかったことが問題。1点取れば彼らは怖がってどんどん下がるはずでしたから。1点も取れなかったというか、チャンスもあまり作れなかった。それを含めて、今日は一発勝負の戦い方ができなかった」
岩政にはどうしても聞きたいことがあった。松本山雅戦後に言及した「思い出したこと」や「ヒント」とは何か、と。もちろん準決勝後にも質問したが、悪戯小僧のような笑顔とともに「言いませんよ、来週がありますから。勝って昇格したら、僕のコラムで書きますので」とあっさりとかわされていた。