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松木さん自らが明かす“名言”の真相。「黙って見ましょう」「ふざけたロスタイム」の舞台裏【編集部フォーカス】

ウェブ番組『FChan TV』とのコラボ企画。今回は、日本代表戦の解説でおなじみの松木安太郎さんによる、自らの解説についての解説をお届けする。「黙って見ましょう」、「ふざけたロスタイムですね」などの名言はいかにして生まれたのだろうか。

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by editorial staff , Getty Images

視聴者というよりスタッフを安心させるための一言

川口能活
ヨルダン戦で奇跡的なPKストップを見せた川口能活【写真:Getty Images】

「まだわかんないですよ! 諦めちゃダメですよ!」
(2004年アジアカップ準々決勝 ヨルダン戦、PK戦で絶体絶命の状況となり)

 日本の国家斉唱の際ブーイングが起こるなど、完全アウェイで行われた2004年アジアカップ準決勝。序盤で失点するも、わずか3分後に鈴木隆行の同点ゴールで追いつく。しかし、試合は延長戦でも決着がつかずPK戦へ突入。

 メインスタンドから見て左側のPKスポットはピッチ状態が劣悪で、一人目のキッカーを務めた中村俊輔は足元を滑らせ失敗。続く三都主アレサンドロも失敗したところで、当時キャプテンを務めていた宮本恒靖がPKエンド変更をレフェリーに申し出る。

 異例のPKエンド変更後、日本の三人目福西崇史は成功。しかし、一方のヨルダンは三人目終了時点で全員成功。次に相手が成功すれば日本の大会敗退が決定するという状況で、誰もが敗戦を確信した。その瞬間に松木氏から出た一言が、この「まだわかんないですよ! 諦めちゃダメですよ!」であった。

 この時、松木氏が解説をしていたテレビ朝日のスタッフも「負けるかもしれない」との思いを抱いていたようだ。スタッフらが「このまま負けたら、ウイグル地区を回って帰らないといけないから帰れない」と松木氏に漏らしていたようで、彼らを安心させる意も込めて「大丈夫だから! まだ絶対大丈夫だから。まだ決まってないんだから!」と解説していたことを明かした。

 この後、川口能活が好セーブを見せ奇跡の決勝進出を果たした日本代表。多くの視聴者が松木氏の言葉を聞き勇気づけられただろうが、視聴者だけでなくテレビ局のスタッフを安心させるための言葉でもあったことを、当時は知る由もなかっただろう。

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