裏目に出てしまった交代策
ユナイテッドは先制し、突き放すチャンスも作り出していた。追加点を取れなかったことが同点に追いつかれる原因になったことも事実であるが、ジョゼ・モウリーニョ監督の交代策も当たらなかった。
65分以降押し込まれ、明らかに流れはエバートンに傾いており、中盤でボールをキープすることができずに自分たちの時間が作れていなかった。最終ラインからすれば、跳ね返したあとに時間を作ってほしいという思いであっただろう。
しかし、モウリーニョ監督の1枚目のカードは83分まで待たねばならず、そのカードもアントニー・マルシアルに代えてマーカス・ラッシュフォード。ラッシュフォードは縦へのスピードに特徴がある選手であり、時間を作れるタイプの選手ではない。フアン・マタという選択肢はなかったのだろうか。
また、85分にはムヒタリアンに代えてフェライニを投入。エレーラを右サイドへ。その2分後に右サイド(エバートンから見れば左サイド)を崩され、フェライニはPKを与えてしまった。PKを与えてしまった以上、この交代策は悪手だったと言わざるを得ない。
エバートンは決してパワープレーに出ていたわけではなく、サイドのアタッカーを中心にスピードのある攻撃を仕掛けていた。この展開ではフェライニではなく、戦術眼に優れスペースを埋められるダレイ・ブリント、もしくは選手交代をせずにそのままのリズムを保って逃げ切りを狙うという手もあったはずだ。
フェライニはエバートン時代にはトップ下からエリア内に侵入してヘディングで合わせるというプレーを得意としていた。決して守備的なプレーヤーではなく、先発起用されたときにも不用意にボールに食いつき、スペースを空けてしまったり、無駄なファウルを犯したりもしている。チームが1-0で逃げ切ろうとしている状況、相手がパワープレーをしていない状況で投入するプレーヤーではないはずだ。