“新10番”、躍動。指揮官も絶賛
バイタルエリアで攻撃のタクトを振るい、ボルシアMGのDF陣を脅かし続けた。34分にはエリア内に走りこむロイスに絶妙のスルーパスを通す。47分にもエリア内のシュメルツァーにスルーパス。あわやの場面を作り出す。さらに50分にもオーバメヤンにスルーパスを通そうとするが、ここはDFに弾かれる。しかしすぐにこぼれ球を拾うと、今度はサイドに展開。オフサイドになったロイスの幻のゴールを演出した。
前所属のレンヌでも、トップ下で起用された経験はあり、ゴールもアシストも記録している。デンベレにとって2列目の中央は、いわば“第3のポジション”。決してサプライズではない。しかしフランスリーグとブンデスリーガでは、やはり対戦相手のレベルは異なってくる。ましてボルシアMGは、今季CLの出場チームだ。19歳という年齢と、加入1年目で前半戦も折り返していないことを考えれば、デンベレの持つポテンシャルは計り知れない。試合後にトゥヘルも「今日彼はこれまででベストのゲームをした」と称賛する。
「懸命に守備をしてハードワークを重ね、違いを作り出した。我々は彼がここにいてくれてハッピーだ」
64分にはゴール前でロイスからパスを受けると、深い切り返しでダフートをかわし、ゴールを決める。68分にはドリブルでクラマーをかわして、前方のロイスにパス。さらにロイスがエリア内を切り裂いて、ヒールで落とす。オーバメヤンが叩き込む。
デンベレの独壇場で、ドルトムントがボルシアMGを4-1で下した。
もちろんミスパスや不用意なボールロストが散見されるなど、まだまだ未完成ではある。それでもボルシアMG戦で19歳のフランス代表は、香川が「速ええヤツら」と羨むスピードだけでなく、中盤での創造性も示した。
この勝利でドルトムントは暫定的に5位に浮上。“10番デンベレ”という上位進出のための足掛りを得た、ボルシアMG戦だった。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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